アクロポリスのゴール係り≪十月二十一日≫ ―壱―アクロポリスでの一日が始まった。 午前中は、新保君と千春に洗濯物を頼んだ手前、留守番をするはめにな り、部屋から出ることが出来ず、午後からアクロポリスに登ることにな った。 アクロポリスに登るのは、今回が二度目。 幸いにも今日は木曜日。 入場料が無料の日なのです。 まだ、大会は継続中であり、到着していない三名の為にも、ゴール係 りとして待っていなくてはならない。 これには・・・・なかなか霊感が働いたのか。 午後一時から三時までの二時間、アクロポリスの上で過ごした。 今日は無料の日ということを知ってか、日本人観光客たちがやたらと多 い。 アクロポリスを吹き抜ける風が、やたらと冷たく感じる。 夏服しか用意してこなかった俺にとっては、ちょっと堪える寒さであ る。 俺 「今日はダメかな。あの三人何してんだか??」 何の収穫もなく、下山することにし、アクロポリスの中腹辺りにあ る、ポスト・オフィスを通りかかったそのとき、聞きなれた声が聞こえ てくるではないか。 W君「お~~~~い!」 俺 「ヨー!若狭!」 W君「もう到着してたんですか??」 俺 「今日は、俺がゴール係りさ!首を長くして待ってたん だぜ!」 W君「そうですか、ご苦労さんです。皆はどうしてます か?」 俺 「もうほとんど揃ってるさ。お前を入れて・・・・あと 三人だけなんだよ!」 W君「後二人って誰です?」 俺 「小平君と渡辺君の二人さ。」 W君「そうですか。」 俺 「消息は聞かなかった?」 W君「聞かなかったな~~。僕が最後だと思っていましたか ら・・・。」 俺 「T.C.とパスポートは戻ってきたの??」 若狭君は、タイでパスポートとT.C.wo盗まれて、しばらくやむなく滞 在する羽目になっていたのだ。 W君「一週間くらいで、返って来ましたから。」 俺 「そうか、案外早かったんだな。俺はもう少しかかるか と思っていたんだけどな。」 W君「そうでしょ。あれから・・・面白かったんですよ。」 俺 「また、話を聞かせろよ。」 W君「ええ。」 俺 「皆のところへ案内するわ。みんな心配してたから な。」 W君「早く行きましょう。皆に逢えるの楽しみに頑張ってき ましたから。」 今彼は、俺がアテネに到着して最初に泊まった”Iron・House”の隣に 宿泊していて、明日皆のところに引越しすることになった。 午後六時になっても、買出しのための店がオープンせず、諦めてW君 と二人で、プラカ地区に出かけていくことにした。 夕食を取るためだ。 ジャンル別一覧
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